友人から子供の遊び道具にと、中古のオープンリールデッキのプレゼント。昔は良かったなんて感傷的なことを言うつもりはないけれど、iPod や iTunes で音楽を聴くことに比べて、やっぱり音楽を聴くという行為に、なんていうか喜びがあるような気がします。それに、回転するテープを見ていると、時間の感覚も違う気がします。
僕はというと、はじめて音楽に目覚めた中学生のときはレコードでした。小遣いをためて、親に内緒で電車に乗って渋谷の中古レコード店を廻り、出来るだけ安く状態のいい音盤を探して買ったレコードは、たとえ音楽が気に入らなくても一生懸命聴きました。レコードはCDと違って曲を飛ばすのも面倒ですし、そうやって辛抱強く聴いていると、嫌いだった曲もだんだん好きになってきたりもしたり。そのせいもあってか、キャッチーなものだけではなく、凝ったアレンジの曲を面白がって聴いたりするようになったかもしれません。考えてみると、オープンリール・デッキやレコードプレーヤといったオーディオ(“コンポ”なんて言いましたっけ?)も、今より図体の大きいものが中心で、気軽に買えるような値段でもなかったでしょうから、売る人も買う人も今より真剣でしたでしょうし、音源を作るにも、今よりお金も手間も掛かるでしょうから、音源の制作から、再生機器にいたるまで、本当に職人仕事が集結していたのでしょう。
僕は、コンピュータも大好きですし、昔に戻りたいなんて思いませんが、手軽になっても丁寧に仕事する事を心がけたいものです。
ちなみに、友人が見せてくれた、ナグラとか高価なデッキは、本当に機械自体が官能的で美しいものでした。(たぶん、これと同じ)