昨年(2019年)リリースされた『RE-DEBUSSY』そして、2017年にリリースされた『RE-FAURÉ』。
私たちのプレイリストから遠ざかってしまったクラシック音楽。博物館の奥深くに収蔵された「美しい骨董品」を、「現代の音楽」へ翻訳、そして再生させるプロジェクトです。 不変の美しい音楽を、現代のアーティスト達と共にリメイクして行きます。(RECLASSIC STUDIES ウェブサイトより)
2枚とも、歌手のJessicaとピアニストの中川瑞葉による演奏だ。そして『RE-FAURÉ』では Prefuse73、『RE-DEBUSSY』では Hauschka を迎えて、今の音によって、独特の雰囲気のアルバムに仕上がっている。
Jessicaの歌唱は(いわゆるクラシックの歌唱ではなく)かなり叙情的に歌われる。中川瑞葉のピアノはしっかりとした技術で丁寧に冷静に歌を支えている印象だ。そして、各曲の間を『RE-FAURÉ』ではPrefuse73、『RE-DEBUSSY』では Hauschka が、それぞれの作品からインスパイアされたサウンドを、インターリュードとして曲間に挟むことで独特の場を作り出している。
「美しい骨董品」と形容されているように、フォーレもドビュッシーも、クラシック音楽の中では「近現代」に分類されるとはいえ、既に100年ほど前の作曲家だ。当然、様々なリメイクがあってよいし、何よりも、コンサートホールでしか中々歌われず、なんとも硬い世界に閉ざされているイメージのあるクラシック音楽が、そのある意味で特殊な場から解き放たれ、もっと人々に近い場で歌われているようで嬉しい気持ちにもなる。これらの音楽は、もっと身近で自由に歌われるべき音楽なんだと思わせてくれた。そう、シャンソンっていう感じかな。(だから、エリック・サティでは『RE』にならないかも)
音楽が好きでもクラシックを聴かない人、クラシックが好きでも、フォーレやドビュッシーの歌曲までは中々聴かない人も多く、そんな人たちが「こんな良い曲があったんだ!」となることも素晴らしいことと思います。
これを聴いて、各作品の名演と呼ばれる音源を探して聴くのもいいですね。それらを探したらここに追記します。