評論家お断り!
『私的演奏協会』のポスター
この演奏会では、(当時、先進的な音楽に対して多かった)野次を飛ばす聴衆や悪意ある評論を演奏会から締め出すために会員制とし、演奏会の入り口には「評論家はお断り」と書かれた看板まで出されたそうだ。また同時に客観的な作品の受容の妨げにならないようにするために拍手や喝采も禁止された。
ドビュッシー、ラヴェル、ストラヴィンスキー、バルトーク、ヴェーベルン、ベルク、レーガー、もちろんシェーンベルク等、当時の現代音楽の作品が演奏され、交響曲や管弦楽曲は、シェーンベルクやその弟子らによる優れた室内楽編成による編曲によって演奏された。特にその編曲は、作品の細部をよりわかりやすく理解できなど、オリジナルとはまた違った味わいがある。
『私的演奏協会』のプログラムリスト
1918/19 シーズン
#1
1918年12月29日(日)
- アレクサンドル・スクリャービン:ピアノソナタ第4番、第7番
- クロード・ドビュッシー:歌曲集『抒情的散文』
- グスタフ・マーラー:交響曲第7番 ホ短調(四手ピアノ / アルフレード・カゼッラ 編曲)
#2
1919年1月5日(日)
- マックス・レーガー:チェロ・ソナタ イ短調 op.116
- グスタフ・マーラー:歌曲集『少年の魔法の角笛』から5曲(ピアノ伴奏版)
- マックス・レーガー:序奏とパッサカリアとフーガ ロ短調(二台ピアノのための)op.96
#3
1919年1月12日(日)
- リヒャルト・シュトラウス:交響詩『ドン・キホーテ』 op.35(二台ピアノ / オットー・ジンガー 編曲)
- アレクサンドル・スクリャービン:ピアノソナタ第4番、第7番(#1)
- マックス・レーガー:序奏とパッサカリアとフーガ ロ短調(2台ピアノのための)op.96(#2)
#4
1919年1月16日(木)
- グスタフ・マーラー:交響曲第7番 ホ短調(四手ピアノ / アルフレード・カゼッラ 編曲)(#1)
#5
1919年1月23日(木)
- マックス・レーガー:チェロ・ソナタ イ短調 op.116(#2)
- クロード・ドビュッシー:歌曲『艶なる宴』(全6曲)
- フランツ・シュレーカー:『あるドラマへの前奏曲』(楽劇『烙印を押された人々』より)
(四手ピアノ / ヨーゼフ・ローゼンシュトック、フェリックス・ペティレク 編曲)
#6
1919年1月30日(木)
- リヒャルト・シュトラウス:交響詩『ドン・キホーテ』 op.35(二台ピアノ / オットー・ジンガー 編曲)(#3)
- グスタフ・マーラー:歌曲集『少年の魔法の角笛』から5曲(ピアノ伴奏版)(#2)
- クロード・ドビュッシー:管弦楽のための『夜想曲』(二台ピアノ / モーリス・ラヴェル 編曲)
#7
1919年2月2日(日)
- ヨーゼフ・マティアス・ハウアー:ピアノのための『ノモス』(Nomos in sieben teilen) op.1
- ヨーゼフ・マティアス・ハウアー:ピアノのための『ノモス』(Nomos in fünf teilen) op.2
- クロード・ドビュッシー:管弦楽のための『夜想曲』(二台ピアノ / モーリス・ラヴェル 編曲)(#6)
- ハンス・プフィッツナー:5つの歌曲 op.26
- アルバン・ベルク:ピアノ・ソナタ op.1
#8
1919年2月9日(日)
- フランツ・シュレーカー:『あるドラマへの前奏曲』(楽劇『烙印を押された人々』より)
(四手ピアノ / ヨーゼフ・ローゼンシュトック、フェリックス・ペティレク 編曲)(#5) - ベーラ・バルトーク:14のバガテル op.6
- クロード・ドビュッシー:歌曲『艶なる宴』(全6曲)(#5)
- イーゴリ・ストラヴィンスキー:四手ピアノのための『3つのやさしい小品』
- イーゴリ・ストラヴィンスキー:四手ピアノのための『5つのやさしい小品』
#9
1919年2月16日(日)
- アントン・ヴェーベルン:管弦楽のための『パッサカリア』 op.1(二台ピアノ(六手)の編曲)
- ベーラ・バルトーク:14のバガテル op.6(#8)
- アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー:歌曲『塔守りの歌とその他の歌』op.8
- イーゴリ・ストラヴィンスキー:四手ピアノのための『3つのやさしい小品』(#8)
- イーゴリ・ストラヴィンスキー:四手ピアノのための『5つのやさしい小品』(#8)
#10
1919年2月23日(日)
- アルバン・ベルク:ピアノ・ソナタ op.1(#7)
- クロード・ドビュッシー:管弦楽のための『夜想曲』(二台ピアノ / モーリス・ラヴェル 編曲)(#6)
- ヨーゼフ・マティアス・ハウアー:ピアノのための『ノモス』(Nomos in fünf teilen) op.2(#7)
- ヨーゼフ・マティアス・ハウアー:ピアノのための『ノモス』(Nomos in sieben teilen) op.1(#7)
- カール・ヴァイグル:弦楽四重奏第二番 ホ長調 (ヴィオラ・ダモーレと共に)
#11
1919年3月2日(日)
- ユリウス・ビットナー:チェロ・ソナタ
- フェルッチョ・ブゾーニ:ピアノのための6つのエレジー(悲歌集)
- カール・ヴァイグル:弦楽四重奏第二番 ホ長調 (ヴィオラ・ダモーレと共に)(#10)
#12
1919年3月9日(日)
- マックス・レーガー:クラリネット・ソナタ ロ長調 op.107
- エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト:ヴァイオリン・ソナタ op.6
#13
1919年3月16日(日)
- ヨセフ・スク:交響詩『夏物語』op.29 (四手ピアノ / Roman Veselý 編曲)
- ハンス・プフィッツナー:5つの歌曲 op.26(#7)
- リヒャルト・シュトラウス:交響詩『ドン・キホーテ』 op.35(二台ピアノ / オットー・ジンガー 編曲)(#3)
#14
1919年3月23日(日)
“レーガーの夜”
- マックス・レーガー:クラリネット・ソナタ ロ長調 op.107(#12)
- マックス・レーガー:チェロ・ソナタ イ短調 op.116(#2)
- マックス・レーガー:序奏とパッサカリアとフーガ ロ短調(二台ピアノのための)op.96(#2)
#15
1919年3月30日(日)
- ヨゼフ・グスタフ・ムラチェク:『マックスとモーリッツ』大オーケストラのためのおどけた交響曲(四手ピアノ編曲)
- エゴン・ヴェレス:メゾソプラノ、ヴァイオリン、ヴィオラのための賛美歌
- リヒャルト・シュトラウス:『家庭交響曲』op.53(二台ピアノ / オットー・ジンガー 編曲)
#16
1919年4月6日(日)
- フェルッチョ・ブゾーニ:ピアノのための6つのエレジー(悲歌集)(#11)
- アルバン・ベルク:4つの歌曲 op.2
- アントン・ヴェーベルン:Der Siebente Ringによる『5つの歌曲』 op.3
- ヨーゼフ・マティアス・ハウアー:ピアノのための『ノモス』(Nomos in fünf teilen) op.2(#7)
#17
1919年4月13日(日)
- フィデリオ・フィッツ・フィンケ:5つのピアノ曲
- アルバン・ベルク:4つの歌曲 op.2(#16)
- ヨセフ・スク:10のピアノ曲『命と夢』op.30
- イーゴリ・ストラヴィンスキー:四手ピアノのための『3つのやさしい小品』(#8)
- イーゴリ・ストラヴィンスキー:四手ピアノのための『5つのやさしい小品』(#8)
#18
1919年4月27日(日)
- モーリス・ラヴェル:ピアノ曲『夜のガスパール』
- グスタフ・マーラー:交響曲第6番 イ短調 (四手ピアノ / アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー 編曲)
#19
1919年5月4日(日)
- マックス・レーガー:ピアノのための『エピソード集』 op.115
- マックス・レーガー:クラリネット五重奏曲 イ長調 op.146
- フェルッチョ・ブゾーニ:ピアノのための6つのエレジー(悲歌集)(#11)
#20
1919年5月11日(日)
- クロード・ドビュッシー:ピアノ曲『喜びの島』
- アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー:弦楽四重奏曲第二番 op.15
- アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー:モーリス・メーテルリンクの詩による6つの歌曲 op.13
#21
“公共宣伝の夜 I”
1919年5月17日(土)
- グスタフ・マーラー:交響曲第7番 ホ短調(四手ピアノ / アルフレード・カゼッラ 編曲)(#1)
- マックス・レーガー:クラリネット五重奏曲 イ長調 op.146(#19)
#22
“公共宣伝の夜 II”
1919年5月23日(金)
- マックス・レーガー:クラリネット・ソナタ ロ長調 op.107(#12)
- グスタフ・マーラー:歌曲集『少年の魔法の角笛』から5曲(ピアノ伴奏版)(#2)
- アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー:弦楽四重奏曲第二番 op.15(#20)
#23
“公共宣伝の夜 III”
1919年5月30日(金)
- アルバン・ベルク:ピアノ・ソナタ op.1(#7)
- ヨーゼフ・マティアス・ハウアー:ピアノのための7つの小品 op.3
- ヨーゼフ・マティアス・ハウアー:ピアノのための『ダンス』 op.10
- フェルッチョ・ブゾーニ:ピアノのための6つのエレジー(悲歌集)(#11)
- クロード・ドビュッシー:歌曲集『抒情的散文』(#1)
- モーリス・ラヴェル:ピアノ曲『夜のガスパール』(#18)
- クロード・ドビュッシー:ピアノ曲『喜びの島』(#20)
#24
“公共宣伝の夜 IV”
1919年6月6日(金)
- ベーラ・バルトーク:14のバガテル op.6(#8)
- イーゴリ・ストラヴィンスキー:声楽と3本のクラリネットのための『猫の子守唄』
- イーゴリ・ストラヴィンスキー:声楽と8つの楽器のためと『プリバウトキ』
- アルバン・ベルク:管弦楽のための3つの小品より第2曲 op.6(二台(八手)ピアノ編曲)
- アントン・ヴェーベルン:Der Siebente Ringによる『5つの歌曲』 op.3(#16)
- アントン・ヴェーベルン:管弦楽のための『パッサカリア』 op.1(二台ピアノ(六手)の編曲)(#9)
#25
1919年6月13日(金)
- クロード・ドビュッシー:管弦楽のための『夜想曲』(二台ピアノ / モーリス・ラヴェル 編曲)(#6)
- アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー:モーリス・メーテルリンクの詩による6つの歌曲 op.13(#20)
- ヨセフ・スク:10のピアノ曲『命と夢』op.30(#17)
#26
1919年6月13日(金)
- アレクサンドル・スクリャービン:ピアノソナタ第4番、第7番(#1)
- アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー:弦楽四重奏曲第二番 op.15(#20)
1919/20 シーズン
#27
1919年9月19日(金)
- マックス・レーガー:ヴァイオリン・ソナタ ハ短調 op.139
- リヒャルト・シュトラウス:クレメンス・ブレンターノの詩による6つの歌曲 op.67
- マックス・レーガー:ベートーヴェンの主題による変奏曲とフーガ(二台ピアノ) op.86
#28
1919年9月26日(金)
- フェルッチョ・ブゾーニ:ソナチネ第1番
- モーリス・ラヴェル:弦楽四重奏曲
- マックス・レーガー:作品75より5つの歌曲 op.75
私的演奏協会のための編曲を収めたCD
グスタフ・マーラー:交響曲第4番 / 『さすらう若人の歌』
リノス・アンサンブル
グスタフ・マーラー:交響曲第4番 / 『さすらう若人の歌』
演奏:リノス・アンサンブル、アリソン・ブラウナー(メゾ・ソプラノ)、オラフ・ベーア(テノール)
収録曲:
交響曲第4番(エルヴィン・シュタイン編曲)
『さすらう若人の歌』(アルノルト・シェーンベルク編曲)
交響曲第4番の編成は、フルート、オーボエ、クラリネット、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ピアノ、打楽器、ハーモニウムの11人。
グスタフ・マーラー:交響曲「大地の歌」
リノス・アンサンブル
グスタフ・マーラー:交響曲「大地の歌」
演奏:リノス・アンサンブル、イヴォンヌ・フックス(メゾ・ソプラノ)、マルクス・シェーファー(テノール)
収録曲:
交響曲「大地の歌」(アルノルト・シェーンベルク、ライナー・リーン編曲)
シェーンベルクの編曲は未完に終わり、1983年にリーンが完成させた。
(したがって、私的演奏協会では演奏されていない。)
グスタフ・マーラー:交響曲第6番『悲劇的』、交響曲第7番『夜の歌』
ツェンカー&トレンクナー(ピアノデュオ)
グスタフ・マーラー:交響曲第6番『悲劇的』、交響曲第7番『夜の歌』
収録曲:
交響曲第6番『悲劇的』(アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー編曲)
交響曲第7番『夜の歌』(アルフレード・カゼッラ編曲)
演奏:ツェンカー&トレンクナー(ピアノデュオ)
四手ピアノによる編曲。
クロード・ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、他
リノス・アンサンブル
クロード・ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、他
収録曲:
クロード・ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲(ベンノ・ザックス編曲)
アントン・ウェーベルン:管弦楽のための6つの小品 op.6(アントン・ウェーベルン編曲)
マックス・レーガー:ロマンティック組曲 op.125(アルノルト・シェーンベルク&ルドルフ・コーリッシュ編曲)
アルノルト・シェーンベルク:6つのオーケストラ歌曲 op.8(5曲抜粋)(ハンス・アイスラー&エルヴィン・シュタイン、アルノルト・シェーンベルク編曲)
演奏:リノス・アンサンブル
全て室内アンサンブルのための編曲。『牧神の午後への前奏曲』はシェーンベルクの指示により弟子のベンノ・ザックスが編曲。細部まで明確に聴き取れるクリアな音色の編曲は私的演奏協会ならではの編曲。(フルート、オーボエ、クラリネット、ヴァイオリンx2、コントラバス、ピアノ、ハルモニウム、シンバル)