20世紀音楽の最重要作曲家のシェーンベルクの探求の旅。最高の一冊。
20世紀音楽の最重要作曲家の本格的評伝。アルノルト・シェーンベルクの創作活動は常に新たな課題への挑戦であり、彼の人生はその都度たどり着いた地点を出発点とする、飽くなき探求への冒険の旅であった…。後期ロマン主義スタイルから十二音技法による音楽まで、変貌する作品群を省察しつつ関連ドキュメントを読み解き、作曲家の創造の全貌を描く。音楽と政治・宗教との関わりを照射。
【目次】
プロローグ “長い冒険の旅”の前に
伝統と現代 独学精神の発露
1.果敢なる試行
2.詩人への共感 デーメル歌曲集
3.標題音楽への志向 ≪浄められた夜≫
4.技法の変革 ≪グレの歌≫
5.ウィーンからベルリンへ 交友の拡がりと二人のシュトラウス
6.交響詩への道 ≪ペレアスとメリザンド≫
音楽の造型思考
1.再出発、ウィーン
2.大規模室内楽の構想 ≪弦楽四重奏曲第一番≫
3.あふれ出る楽想 ≪室内交響曲第一番≫
4.孤独の受容
無調・表現主義
1.ゲオルゲの詩と二つの作品
2.表現主義的ピアニズム ≪三つのピアノ曲≫
3.“雑色・雑多・非論理” ≪五つの管弦楽曲≫
4.音楽的表現主義の典型 モノドラマ≪期待≫
5.色彩象徴の舞台 音楽劇≪幸福な手≫
6.惜別と邂逅 マーラーとカンディンスキー
7.主題としての死 ≪月に憑かれたピエロ≫
十二音技法への道
1.1912年、新たな地平へ 「セラフィタ」計画
2.室内楽的伴奏の万華鏡 ≪四つの管弦楽伴奏付き歌曲≫
3.「大交響曲」構想 未完の創造の地平
4.ファウスト的なるもの オラトリオ≪ヤコブの梯子≫
5.モダニズム音楽の開花
6.「十二音技法」確立への道 ≪セレナード≫
7.十二音技法の公開 シェーンベルクとハウアー
8.「十二音技法」探求の意味 探求の意味
9.反・時事オペラ ≪今日から明日へ≫
10.ベルリン時代最後の作品群
シェーンベルクのアイデンティティ
1.反ユダヤ主義事件
2.戯曲『聖書の道』
3.≪モーゼとアロン≫
4.反ユダヤ主義との闘い
5.ユダヤ教徒としての所産 ≪コル・ニドレ≫
6.≪ナポレオンへの頌歌≫
7.≪ワルシャワの生き残り≫
あくなき創造の地平 後期十二音技法の進展
1.新しいロマン主義 二つの多楽章制十二音音楽
2.後期ロマン主義的表現主義の権化 ≪ピアノ協奏曲≫
3.異常な音楽力の総合 ≪弦楽三重奏曲≫
4.変幻する旋律 ≪ヴァイオリンのためのピアノ伴奏付き幻想曲≫
5.最後の作品群へ ≪千年が三度≫
6.十二音技法の新境地 ≪詩篇第一三〇番「深き淵より」≫
7.祈りの調べ ≪現代詩篇≫
エピローグ “旅路”は続く
単行本:535ページ
出版社: 春秋社
発売日:(2012/8/17