1940年6月、ドイツ軍に捕らえられ、東欧ザクセンのゲルリッツにあった捕虜収容所にいたオリヴィエ・メシアン。
『ヨハネ黙示録』の第10章から霊感を得て、同じ収容所に捕らえられていた、ヴァイオリニストのジャン・ル・プーレール、クラリネット奏者のアンリ・アコカ、チェリストのエンティエンヌ・パスキエの、夜の洗濯場での楽興のために第四楽章に置かれている、ヴァイオリン、チェロ、クラリネットの〈間奏曲〉を作曲した。そこから、メシアンは8つの楽章をもった大きな作品へと発展させた。ピアノが調達できる保証はなかったが、メシアン自身がピアニストとして参加する変則的な四重奏曲として作曲された。
完成された作品は、1941年1月15日、収容所VIIIAの中庭で、マイナス30度という極寒の中に集まった54人の前で、一本の弦が切れたままのチェロと、いくつかの鍵盤は沈んだままのアップライトピアノによって初演された。
曲名の日本語訳が『世の終わりのための四重奏曲』となっているが、直訳すれば『時の終わりのための四重奏曲』となる。
この録音は、作曲者のメシアン自身によって監修されている。
【収録曲】
1.水晶の典礼
2.世の終わりを告げる天使のためのヴォカリーズ
3.鳥たちの深淵
4.間奏曲
5.イエスの永遠性への賛歌
6.7つのトランペットのための狂乱の踊り
7.世の終わりを告げる天使のための虹の混乱
8.イエスの不滅性への賛歌
【演奏】
ルーベン・ヨルダノフ(ヴァイオリン)
アルベール・テタール(チェロ)
クロード・デスルモン(クラリネット)
ダニエル・バレンボイム(ピアノ)