美しかった少女マノン・グロウピウスの死に捧げるレクイエム。
マノンはベルク夫婦が可愛がっていた、マーラー未亡人アルマが、バウハウスの創立者として有名な建築家グロピウスと再婚してもうけた娘。
ベルクはその死を悼み「ある天使の思い出に」の献辞を付し、一種のレクイエムとしてこの協奏曲を作曲した。しかし、ベルク自身もこの作品の完成の4ヶ月ほど経った1935年12月24日、悪性腫瘍が元で50歳の生涯を閉じた。
2つの楽章の前半は、少女の本質的な性格描写、後半は病魔との戦いと死。そして、バッハのコラールの引用による象徴的な天国への召還。
音楽的には無調性の中に見え隠れする調性的なハーモニーや旋律、そしてロマン的な音の動き…12音技法といった、この時代(1930年)の新しいハーモニーの技法を使いながらも、官能的でもあり叙情的な、アルバン・ベルクの美的感覚がよく現れている。
【収録曲】
1.ヴァイオリン協奏曲(1935)
2.管弦楽のための3つの小品(1914)
【演奏】
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
バイエルン放送交響楽団
サー・コリン・デイヴィス(指揮)