ジャン・コクトーによる「兵士の物語」。 1962年にジャン・コクトーが自ら語り手を担当し録音。 舞台を見ずに音楽だけを聴いても解るよう(ラジオドラマのように)台本もコクトーによって編集されている。
「兵士の物語」は1918年に発表された、 朗読、演劇、バレエを統合した「読まれ、演じられ、そして踊られる」新しいジャンルを開拓している作品。7人のアンサンブルと語り手、兵士、悪魔が登場する。音楽的にも、アメリカ演奏旅行から帰ったアンセルメ(指揮者)からもたらされたラグタイムやジャズに魅せられ、それらの要素を作品に活用するなど、既に「春の祭典」等で新しい音楽の開拓者であったストラヴィンスキーが、さらに新しい音楽世界を聴かせてくれる。しかし、ストラヴィンスキーらしく、新しい音楽ではあるが決して現代音楽のように深刻であったり、あまりに実験的な響きになることはなく、 軽快でユニークな響きの作品となっている。