現代音楽の作曲家、三善晃(1933-2013)が、1979年に出版した単行本『男の料理学校』の改題・文庫化した、『オトコ、料理につきる』より。
フランス留学時代に食べたものかなりの数のレシピが盛り込まれています。「オトコ」を強調するように、何かと男女の料理の比較をしつつ、現代音楽の作曲家らしく理屈っぽい独特の文体がクセになる一冊です。
[材料]
- 鶏の骨つき肉ー400g、じゃがいもー4個、玉ねぎー2個、にんじんー半本、牛乳ー1カップ、スープ・ストックー1カップ、生クリームー半本
- 他に、バター、塩、故障、ローリエ、セルフィユ、ナツメグ、ブール・マニエ、粉チーズ
[作り方]
- 骨付き肉のぶつ切りはさっと炒めて塩胡椒する。
- そのフライパンにバターを足し、じゃがいもと玉ねぎの乱切り、にんじんのサイコロ切りを中弱火でゆっくり炒める。
- スープ・ストックを煮含めてゆき、じゃがいもに火が通ったら鶏をもどし入れる。
- ローリエ、セルフィユ、ナツメグをふりこみ、塩加減をみて煮詰め、最後に牛乳と生クリーム半々を注ぐ。ヘビークリームでもよい。
- 味をなじませるように温め、少量のブール・マニエ(バターに同量の小麦粉を練りこんだもの)と、粉チーズをふり込んで煮溶かす。
「鶏をもどし入れるとき、グリーンピースをいっしょに入れれば、どこかで赤ん坊の産声が聞こえるね。昼ならビールもよし。夜なら、軽い白ぶどう酒、いずれも、皮カリカリの温かいバケットかブール(パン)を用意しよう。フランスパンが冷たかったら、オーブンを温めておき、霧を吹いて表皮を湿らせたパンを60秒、入れればいい。」
“赤ん坊の産声が聞こえるね”というところがいいですね。