ラヴェル : バレエ音楽 「ダフニスとクロエ」全曲

モーリス・ラヴェル フランソワ=グザヴィエ・ロト レ・シエクル

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衝撃的な『春の祭典』から2年、またまたロトがやってくれました! ラヴェルの『ダフニスとクロエ』を初演時の楽器で再現。前々作「フランス - スペイン」に収録された『道化師の朝の歌』の新鮮な解釈により、ラヴェル作品との相性の良さを示したロトとレ・シエクル、期待しないわけにはいきません。
もともと近代管弦楽法の極限を追求するような精巧さで極彩色のオーケストラ・サウンドを満喫できる作品ですが、初演当時の音色で聴くと、ラヴェルの頭のなかに響いていたのが今日考えられている以上に明快な響きだったことに驚かされます。
『ダフニスとクロエ』は『春の祭典』の初演に先立つこと1年前の1912年6月8日に、同じモントゥーの指揮によりシャトレ座で初演されました。ロシア・バレエ団からの依頼でしたが、バレエ的なリズムよりも旋律を重視しているとディアギレフのお眼鏡にかないませんでした。しかしラヴェル自身が「舞踏交響曲」と称したように、オーケストラの性能を発揮できる好個の楽曲として人気コンサート曲となっています。
とはいえ時代楽器による録音は初めて。初演指揮者のモントゥーも1959年にLSOと録音しましたが、それをさらに純化させた演奏が出現しました。ロトは時代楽器を用いるだけでなく、この作品の出版譜に散見される誤植を正すことも義務と考えました。さらに合唱を注目の実力派アンサンブル・エデスが担うだけでなく、ラヴェルが詳細に指示した通り、舞台の両袖を活用して遠くから近づいてくる効果をはじめて録音で発揮させました。ラヴェルがオーディオ的発想をこの時代に持っていたことを証明してくれます。全体としてこの曲の持つアルカイックな雰囲気が強調され、古代とも現代ともつかぬ夢の世界を作り上げています。
今回もブックレットに弦楽器以外すべての使用楽器と制作年が明記され、貴重な資料となっています。ロトの演奏はますます大きくなり才気煥発。歴史的な意義はもちろんながら、切れの良いリズム感、推進力など驚くほど魅力的な演奏を繰り広げています。
今回からロト& レ・シエクルはActes Sudからハルモニア・ムンディの扱いになります。(輸入元情報)

【収録曲】
ラヴェル : バレエ音楽 「ダフニスとクロエ」 (全曲)

【演奏】
フランソワ=グザヴィエ・ロト (指揮)
レ・シエクル(オーケストラ)
アンサンブル・エデス(合唱)

レーベル: harmonia mundi (2017年6月)